【Kindle Unlimited】『女子高生探偵シャーロット・ホームズ 最後の挨拶』

前回『シャーロット・ホームズの帰還』を読んだので最終巻の『女子高生探偵シャーロット・ホームズ 最後の挨拶』も読んでいく。最終巻といっても、訳者あとがきによるとこれで完結のはずが新作が発表されたということだが、一応話に区切りがつくので。ただシリーズを通しての悪役、ルシアン・モリアーティがあんまり面白いキャラクターではなかったので、それから開放された自作のほうがひょっとしたら面白いかもしれない。

あらすじ

ホームズ家で起きたオーガスト・モリアーティの殺人事件をきっかけにシャーロット・ホームズとジェイミー・ワトスンははなればなれの生活を一年間送っていた。シャーロットは家を出てかつてから暗躍していたルシアン・モリアーティを追跡していたが、一方で高校生活を送るジェイミーの周りでも奇妙なことが起こり始める。色々あって再開するシャーロットとジェイミーだが、ジェイミーの妹が換金されるという事件が起こり、事態は大きく動いていく。

前作よりは確かに盛り上がった

前作までは基本的にジェイミーの視点で小説が書かれていたが、今作ではシャーロットとジェイミーの視点が一章ごとに交互に描かれるという仕組みになっている。こうしたザッピング形式は好みなのでそこは楽しめた。自分がかねてから退屈だと思っていたジェイミーの語りが半分になっているのも嬉しい。

3巻のシリーズを通して問題なのは黒幕であるルシアン・モリアーティの存在感だと思う。「裏からすべてを操っている黒幕」キャラだから仕方ないんだけどやることが間接的すぎて、シャーロットのセリフで「きっと奴の仕業だ」って言うくらいしか今まで出てきてないんで、ルシアンとの追跡劇にいまいちノッていけない。

追跡パートのよくわかんなさは前作『シャーロット・ホームズの帰還』と同じ。思い返してみれば、最初の『シャーロット・ホームズの冒険』は、関係者の素性を洗うというハッキリした目的があったから読めていたんだなと思う。

ただ今回はシャーロットとジェイミーの再開という盛り上がりどころと、もう一つ大きめのびっくりポイントがあるので前作よりは確かに盛り上がってる。訳者あとがきで「ミステリーとしての完成度が今までにないほど高く、かなり意表を突くツイスト(ひねり)が複数待っています」と書いてあるくらいだ。逆に言えばそれ以外の『冒険』と『帰還』にツイストがなさすぎるとも言えるんだけど……。

まぁ今作は前作よりは楽しめた。順位をつけるとしたら1≧2>3かなぁ。最初に書いたとおり、単純なミステリになりそうな次作のほうがより面白くなりそうだと思っている。翻訳されてKindle Unlimitedで出たらまぁ読むかな。

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