【感想】ランボー弱者が『ランボー』を観てみた記事―この映画では暴力は事態の解決を招かない

シルベスター・スタローンの代表作と言ったら『ロッキー』と『ランボー』、後ちょっと下がって『エクスペンダブルズ』?。これは誰もが知っている事実だ。しかし筆者は『ロッキー』は観ているが『ランボー』シリーズは一つも観たことがない、いわばランボー弱者だ。いつか観なきゃなぁと思っていてずっと観ていなかった。ランボーについて知っている知識は「主人公はベトナム帰還兵」「立てこもり事件を起こす」「銃を撃ちまくる」くらい。雑な認識である。

そこで『ランボー』シリーズの最新作『ランボー ラスト・ブラッド』が公開されてる今が丁度いい機会なのではないかと思いシリーズを全部観ていく事にした。

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感想

流れものが町外れに現れる→保安官に捕まって虐待される→強引に逃げ出してカーチェイスに→絶壁から飛び降りるアクション→ランボーを追う保安官たちが狩る側から狩られる側に変わるサスペンス→州兵が出てきてから戦争ものっぽく→坑道を進んで脱出→街に入ってガソリンスタンドででかい篝火をあげる→マシンガンを装備したランボーと保安官の戦い→トラウトマン大佐とランボーのラストシーン

とテンポよくシーンが変わり、それぞれのシーンに見せ場がある。なのでダレる場面がない。観客の心を掴んで放さない非常に巧みなアクション映画になっている。

だがなっているはずなのにただのアクション映画ではない雰囲気が不思議に全編漂っている……。ランボーはかなりの超人系ヒーローでやっていることだけを見れば無双しているのに。

一つ一つのアクションが面白くないとか地味というわけでもない。むしろそれぞれのクオリティは高い。バイクとパトカーのチェイスシーンとか保安官たちが狩られる側に逆転されるサスペンスシーンとかすごい良いよね……。

銃を撃ちまくるのは確かに銃を撃ちまくるんだけど、普通のアクション映画中を撃つシーンを快感とかカタルシスを持つシーンにすると思う。でもこの映画だとランボーが銃を撃っても何も解決しないしスカっともしない。むしろ観ているこちらの胸に悲壮感というか心に澱が溜まっていくばかりだ。

そう、暴力で事態を解決していくのがアクション映画だ。でも『ランボー』では暴力では事態は解決しない。ただ追跡してくる保安官を撃退しても、州兵と銃撃しても、保安官事務所に銃を連射しても何も彼の問題は解決しない。これが『ランボー』をただのアクション映画とは違ったものにしている理由なのではないか。

そしてこの映画を成り立たせてる主人公のジョン・ランボーを演じるスタローンの演技も凄い。

劇中でランボーは全く自分から喋らないし、感情を爆発させるラストシーンを除けばかなりの寡黙だ。演じるのが難しいし、元ベトナムの英雄だったという設定にふさわしい肉体的迫力も必要……。また作品全体を支配する圧迫感、閉塞感はジョン・ランボーの心の反映であり、ランボーという人物が表現できてるかどうかでこの作品の出来は決まる重要な役だ。そしてスタローンはジョン・ランボーを完璧に演じきっている。

そりゃあ『ロッキー』を観ているからただの筋肉アクションスターじゃないのはもちろん知ってたけど、今日『ロッキー』を観て改めてスタローンは凄いと再確認させられた。というか『ロッキー』と『ランボー』っていう名作が2つもあるのにスタローンをただの筋肉アクションスターだと思っている人がいることが不思議な話なわけで。

*

ともかく人生初『ランボー』でしたが非常に面白かった。流石『ロッキー』と並び称されるだけの代表作だなと思わされた。

この記事を読む自分と同じようなランボー弱者がいたら「今更なぁ……」とか言わずに是非観てほしい。私も今更観て感動したんだから。

あと好きなところ

  • まず音楽が滅茶苦茶最高。テーマ曲がいいのも確かだけど劇中BGMも全部良かった。

  • トラウトマン大佐がランボーに無線で呼びかける時、ランボーとその戦友たちの名前を出して呼びかけるけど、それに対して「全員死にました」って応えるシーンいいシーンですよね。
  • あっ、ナイフに燃えた布巻きつけて壁に刺して証明にするの細かいけど好き……。かっこいい……。
  • 続き

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