この前逆転裁判のことにちょっと触れた時、「そういえば逆転裁判って実写映画化されていたな……」と思い出したので、prime videoで観てみた。
原作のビジュアルを再現しようとする意欲は高く感じられる。だが再現しようとした結果コスプレ大会になっているのは漫画やアニメの実写邦画化でよくあるケース。成宮寛貴のナルホドくんや中尾明慶のヤハリはかなりいいかなという感じだが、桐谷美玲のマヨイちゃんはちょっとイメージと違ったかな……。
最初なんでSF? と書いたが、これは原作の設定をひろげたものだった。ゲームをやっているとあんまり意識しないのだけど、2001年発売した『1』では作中時間が2016年、もう追い越してしまったが『逆転裁判』って実は近未来設定の話なんだよね。逆転検事シリーズでは「ぬすみちゃん」という仮想現実を映し出す装置が登場していた。映画では証拠や現場写真などが法廷の空中に映し出される演出がなされている。15年前のDL6号事件の裁判では使われているテクノロジーが古くなるなど細かく拘っていて、このSF的演出は好き。
映画化するにあたって苦労しているのは観ていてもわかるが、ハッキリ言って面白いとは言えない……。ただこれは監督や脚本家が悪いというより、そもそも難しい題材なのだろう。原作をクリアするまで10時間はかかる。それを2時間15分の映画にしたせいで相当話を刈り込まなければならなくなったし、キャラクターを掘り下げる描写もほとんどなくなってしった。原作未プレイ者が観た場合話を理解できるのかな? と心配になるほどだ。裁判の論戦シーンも淡々とした駆け足なのでイマイチ盛り上がりに欠ける。
ただ難しさとは別に法廷中がずっこけるギャグは滑ってたかな……。タイホくんの気ぐるみが何故か裁判長の判決を止めるという謎のギャグがあるのだが、これは意味わからなさすぎて逆に好きです。
またゲームだから受け入れられていた3日間で有罪か無罪かを決めるという序審法廷制度が実写映画になると不自然さがどうしても拭えない。裁判の尺も短くなって議論が尽くされたように見えないせいで、それで判決を下していいのかと感じてしまう。
ただ原作の「オウムを尋問する」という展開を実写でやったのは良かった。実写で観るとあらためて無茶苦茶な展開だなと思ったけど、逆転裁判らしさのある尋問シーンなので。後、原作ゲームのBGMのアレンジが流れるのも良かった。エンドロールの最後で「異議あり!」と叫ぶのは原作のお約束を拾っていて嬉しい。
色々文句を言ってきたが、これは許せないレベルの改変はなく、桐谷美玲のマヨイちゃんもエンドロールの頃にはこれもいいかなくらいには慣れてきたので原作ファンだったらそこそこ見れる程度の映画にはなっている。原作の法廷バトルの面白さは全然再現できていないが。実写映画で大げさなダメージ演出や効果音を入れるのはダサくなるという判断かもしれないけれど、演出次第でもうちょっと上手くできたような気もする。
amazon Prime videoでは見放題なので原作ファンだったら話の種に見てもいいんじゃないかな。
原作ゲーム。Switchでも出たらしい。新作はまだだろうか。