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【感想】施川ユウキ『バーナード嬢曰く。5巻』

ついに『バーナード嬢曰く。』の5巻が出た。前巻の発売日が2018年7月27日だから、1年以上2年近く間が空いての新刊である。読者を焦らす刊行ペースだが、読めば変わらず面白い。1巻からまとめて読み返すたびに「絵柄変わってるな……」と思うのだが、1巻発売は2013年。そりゃ絵柄も変わる年月である。

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1巻の頃は読書家あるあるのギャグ漫画だったが、今の『ド嬢』はレギュラーメンバー4人の青春群像劇色が強くなっている。初期は「読書家もどき」だった町田さわ子も今では一端の読書家と言っていい。学校の図書室の常連であったが友人は文字通りの絶無だった私にとっては彼女らの関係は完全に自分とは隔てられた世界のおはなしなのだが、一般的な読書家はこうやって仲間同士で本の感想を共有したりするものなのだろうか? 「『ハリーポッター』と『ダレン・シャン』どっち派?」とか、「この本を傑作だと思っているが読み終わったばかりのテンションなので素直に身内に勧められない」とかそういう会話をしたりするのだろうか?

ただ群像劇ではないところの読書家あるあるには大いに共感できる。特にこの駅構内の小さな本屋で今話題の本を測るというのは私もやる。「これ駅内の本屋で扱うくらい売れてるのかー」みたいなチェックの仕方をする。

施川ユウキ『バーナード嬢曰く。5巻』44P

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また『がんばれ酢めし疑獄!!』時代からのファンとしては遠藤くんの発言に注目せざるを得ない。『ド嬢』は百合界隈からも注目を集めるほど人間関係の微妙な雰囲気を描いている漫画で1)ただ『ド嬢』以前の漫画、『サナギさん』のころからそういう見方をしている人はいたはず、初期のシュールギャグ漫画作品と同一人物が描いているとは思えないほどの作風の違いがある。

しかし私は『酢めし疑獄』ではネタをむき出しな形で出していたのを以降の作品ではキャラクターに包んでネタを出しているという違いがあるだけで、本質的なネタの作り方はそれほど変わっていないと思うのだ2)『酢めし疑獄』時代からラムニー君とかオニムラとかキャラクターはいたけど、それはギャグとセットのいわば装置であり、人格をもったキャラクターではなかった。。読み返すと理屈っぽいネタ多いし。

この作品においてその考えを裏付けてくれるのが遠藤くんですよ。遠藤くんが「何月で切った?」とちょっと的を外したウケ狙い発言をしたあと挽回しようとするその様は『酢めし疑獄』のショート漫画のネタにあってもおかしくない。これからも彼の言動に注目していこうと思います。

脚注[+]

脚注
本文へ1 ただ『ド嬢』以前の漫画、『サナギさん』のころからそういう見方をしている人はいたはず
本文へ2 『酢めし疑獄』時代からラムニー君とかオニムラとかキャラクターはいたけど、それはギャグとセットのいわば装置であり、人格をもったキャラクターではなかった。
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