今週読んだ本―オリンピックとか暗黒ディズニーとか

今週読んだ本の中で印象に残ったもの―良い意味でも悪い意味でも―を書き留めておく。

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『なぜ東京五輪招致は成功したのか?』松瀬学

2020年東京オリンピック関係のぐだぐだにまつわるニュースを見ていてなんでこんなことになっちまったんだろうかと思い、招致関係の本を読んでいるのだがこれは最初に読んだ一冊。

招致決定まではどんな風に進んでいったかを招致側の外側から追いかけた本で内容は薄い。後半は招致関係者などへの取材記事だがそちらのほうはまだ読む価値はあるかなぁ。

気になったのはここ

テクニカル・ブリーフィングはメディア非公開だった。各都市のプレゼンの持ち時間は45分間。今回の勝負どころは、そのプレゼンに続く45分間の予定のIOCからの質疑応答だった。
 だが、質問はたったの5つ。予定より20分早い25分間ほどで終わった。メディアは出席不可の非公開ながら、①入国管理(朝鮮民主主義人民共和国に対するビザ問題)、②組織委員会とJOCの役割分担、③報道の自由の担保、④IOC委員の家族へのサービス、⑤輸送関係――についての質問だった。『なぜ東京五輪招致は成功したのか?』松瀬 学 25P

ここに「IOC委員の家族へのサービス」ってあるのは堂々と俺たちを接待してうまいもん食わせて女抱かせてくれやってこと? ソルトレイクシティ五輪スキャンダルの後IOC委員が立候補都市を訪問できなくなったそうだが、代わりに家族を送り込んでいい思いさせるようにしたのかなIOC委員は。

実際JOCはIOC委員のラミン・ディアクの息子に2億2000万円払ったという疑惑がニュースになっている。どこの国でもスポーツ関係の団体上層部は腐敗しているものなのだろうか。

『勝ち抜く力 なぜ「チームニッポン」は五輪を招致できたのか』猪瀬直樹

内容は上の本と対して変わらないが作家だけあって文章はこっちの方が面白い。招致に至るまでの軌跡を読みたいって人はこちらを読めばいいのではないか。

時期的な問題で当然ながら公職選挙法違反のことやJOC会長の贈賄容疑のことは書いてない。招致を勝ち取るまでの美しい美談になってるけど眉に唾をつけて読まなければいけない本。奥さんを亡くしたことはお気の毒でしたが。

『勝ち抜く力』なんて題してビジネス書のようなタイトルだが、プレゼンなどに応用できる部分は少なく、著者のタヌキ系ドヤ顔がページから浮かび上がってくるオレの手柄話が7割なのでビジネスパーソンの方々はお金を無駄にしてはいけません。

『五輪招致史の正体』瀧澤次朗

Kindle unlimitedに入っていたので読んだが、タダでも読むべきでない地雷本。時々筆者が出すクイズが読んでいて苦痛。”史”も”正体”もふさわしくない内容ゼロの駄文。あなたが不老不死で時間が無限にあるとしてもこんな本を読んで時間を無駄にしてはいけません。

オリンピックで金髪美女を口説ける外国人女性恋愛術: 言葉ではなく、思考を知る

これもKindle unlimitedで。外国人どころか日本人と付き合ったことがあるかも怪しい著者が書いた本で、長さも16ページと短く、もはや電子書籍というよりAMAZONに登録されたスパムメールと言ったほうが正確なのではないかといった本だが、憎しみがわかない分『五輪招致史の正体』よりはマシですね……。

『東京オリンピックまでに知っておきたいこと』最賀進

お前はKindle Unlimitedのネガキャンをしているのかと怒られそうなので無料で読めて内容もある本もきちんとあるんですよ1)ただこれに1000円はどうかなぁ……と示すためにこれも挙げておく。

幻に終わった1940年の東京オリンピックから1964年、2020年の東京オリンピック招致運動のことについてざっと知ることができる。聖火リレーや記録映画の撮影は1936年ナチス政権下でのベルリンオリンピックが最初、東京オリンピックの記録映画『東京オリンピック』は『千と千尋の神隠し』が破るまでの36年間半年での観客動員数トップだったなんてトリビアも得られるのでオリンピック関係での世間話ネタにもぴったり。

新国立競技場やオリンピックロゴ、大会運営費のゴタゴタについても触れられていて、短いがタイトル通りの内容になっている。『五輪招致史の正体』は見習え!!!!!!!!!!!!!!!111!!!!

『暗黒ディズニー入門』高橋ヨシキ

ディズニー映画を作品の背景にある映画史・文化史的な流れから掘り下げていく評論本。

タイトルからはディズニー作品を悪意ある読み解き方するような本を連想するが、使われている技術や当時の文化背景などを手がかりに丁寧に作品を解体していく王道的な批評で面白い。

ディズニー作品は熱狂的なファンと陰謀論的なアンチの両極端なお客が付いている印象があるので、こういう距離を取りつつきちんと作品について論じている本は嬉しい。ウォルト・ディズニーは過去を美化して見せることは天才的だったが未来志向のコンテンツを作れなかったという欠点を映画『トゥモローランド』とディズニーランドの区画「トゥモローランド」から語ったところは特に興味深かった。

脚注

脚注
本文へ1ただこれに1000円はどうかなぁ……
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